ダイバーシティ経営企業大賞インタビュー VOL.2
年齢・性別・障害の有無・国籍等を問わず多様な人材が活躍できる社会の実現を目指して、その能力を最大限に発揮することができる機会を積極的に提供するなど、ダイバーシティ経営を行っている中小企業等を「徳島市ダイバーシティ経営企業」として認定し、その取組を広く発信することにより、多様な人材が意欲的に仕事に取り組める職場風土の醸成や、働き方の仕組みの整備向上を図っています。
令和6年度は6社を認定し、ダイバーシティ経営企業大賞には『株式会社AIサポート』が選ばれ、令和 6 年11月12日開催の「徳島市 SDGs 未来都市フォーラム」にて表彰を行いました。
生き方の多面性と多様性を認め合い
存分に力を発揮し、活躍できる職場をめざして
ダイバーシティ経営企業大賞
株式会社AIサポート
2016年設立の『AIサポート』は、コンタクトセンターサービスを中心に、通訳・翻訳業務や人材紹介、経営コンサルティング事業などを手がけています。2019年にはBCP対策(災害や事故などが発生した際も事業を継続できるようにする対策)として西日本拠点となる徳島センターを設立。年齢、学歴、国籍、LGBTQ+や障がいの有無に関わらず、多様な人材を採用しています。
社員の声を積極的に取り入れ、柔軟な働き方ができる職場環境は社内外で評価され、カスタマーセンター業務に従事する人々の幸福度向上実現を目的とした「Well-being CUSTOMER CENTER AWARD(ウェルビーイングカスタマーセンターアワード)」では2021年度から4期連続で優秀賞を受賞。時代の変化や多様な価値観に柔軟に対応するダイバーシティ経営に関する取組について、代表取締役社長の山口雄大さんにお話を伺いました。
多彩な人材が永く活躍できる職場を目指して
------- 2016年の会社設立当時から、通訳とか翻訳業務を通じて自然と多国籍な人材が集まる環境があったのでしょうか?
山口さん そうですね。いろいろな国籍の方を雇用していました。本社が東京都の池袋にあり、土地柄もあるとは思いますが、日本国籍以外の方も多かったですね。
-------ということは、文化や習慣の違いなどで大変なこともあったのでしょうか?
山口さん それほどでもなかったです。日本在住の外国人の方をはじめ、日本とブラジル、日本とスペインのダブルの方など、ある程度日本に住んだ経験のある方が多かったので、大きな問題はありませんでした。
-------2019年、徳島市にパソコンやスマートフォンをはじめとするIT製品などのテクニカルサポートやカスタマーサポートを行うコンタクトセンターを徳島に開設されました。どういうきっかけで徳島と接点ができたんでしょうか?
山口さん 四国にはよく来ていて、土地柄も大体わかっていましたし、BCP対策として西日本にも拠点を構えようと思っていたのが理由です。
-------先ほどみなさんの働く様子を少し拝見したんですが、いきいきと仕事をしている印象を受けました。
山口さん 徳島は10代から60代ぐらいの幅広い年齢の方々が働いています。徳島でも、もう少し人員を確保したいですね。
-------幅広い年齢の方が活躍されているんですね。
山口さん そういう企業になれるように努力はしています。こまめに社員と人事部が面談を行って現場の意見を吸い上げ、ライフステージやいろいろなニーズを考慮したうえで、理解し合える職場にできるよう、意識的に取り組んでいます。
-------山口さんが一緒に働きたいと思う人物像を教えてください。
山口さん 基本的に成長意欲がある方であれば、年齢、国籍、性別などは問いません。海外留学生に対しても会社説明会を行っていますし、アルバイトの中には中国の大学に通っている子がいて、長期の休みだけ仕事に来るという働き方をしている人もいます。
現場の声に耳を傾け、一人ひとりに寄り添う
-------徳島ならではの取組はありますか?
山口さん 徳島発の取組でいうと、社員のそれぞれの状況にあわせて働き方を変更できるような仕組みを設けています。通院が必要な社員がいたことがきっかけだったんですが、時短勤務から今は完全にテレワークに切り替えて働いていただいています。人事メンバーには「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」を受講し、精神障害や発達障害の知識を持った社員もいて、就労支援センターや発達障がい者総合支援センターの担当者と連携し、さまざまな障害のある人のための環境整備にも努めています。こうした機関と密に連携していますが、どうしても弊社で働けなくなった場合は、次の就職先を紹介するなど、サポートを行っていきたいと考えています。
-------完全テレワークという働き方ができるのはいいですね。
山口さん 通院をしていた方も最初は出勤していたんですが、週3日の勤務になり、その後パートタイムになり、完全テレワークになりました。弊社は東京本社を含めて全体社員の3割ぐらいが完全テレワークなので、特別な働き方というわけではありません。コンタクトセンターという事業の特性上、研修を受け、個人情報の扱いに気をつけるといったルールなどを守っていただければ、完全テレワークも可能です。
-------働き方が選択できるのはいいですね。
山口さん 社員一人ひとりに対して、対応の仕方が全部違ってくるので、なるべく負荷がかからないよう、不公平感が出ないよう、人事部が中心となって対応しています。
-------現場の意見を吸い上げる仕組みができているんですね。
山口さん そうですね。働き方などの大きな問題だけでなく、小さな意見も挙げてもらうようにしています。例えば仕事中の服装はポロシャツなどのオフィスカジュアルを基準にしていたのですが、この夏の猛暑、徳島の社員から「Tシャツにしてほしい」という要望がありまして。それをOKしたら、次の日からみんなTシャツ。少しはポロシャツを着る人も残るかなと思ったら、全員Tシャツで。「そんなに暑かったんだ」っていう(笑)。こうした小さなことも自分たちの意見が通ったっていう手応えがあると、それが働きがいに繋がるのではないかと思います。
-------なるほど。
山口さん そういったことも含めて、直接私に声が届くような仕組みを整えています。直属の上司に言いにくい環境ではないですが、複数人に知られたくないセンシティブな問題など、私に直接言ってもらえる方がいいと思っています。
-------LGBTQ+への理解も先進的ですね。取り組むようになった出来事があったんですか?
山口さん 年齢や学歴、国籍、性別、障がいで差別することなく実力を公平に評価する会社を目指しており、以前よりLGBTQ+の方々への認知度や理解も進んでおりましたので気負わず自然とやってきた感じです。「work with Pride」(性的マイノリティに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する団体)より、2019年から連続でゴールド認定(GBTQ+が働きやすい職場づくりを実現できているかの指標)をいただいてるのですが、そういった方々が職場で不自由を感じるようなことがないような環境を整えたいなと設立当初から考えています。
---パーソナルな事柄を「知られたくない」と思う人もいるのでは?
山口さん そうですね。センシティブな問題だからこそ、一緒に働く人たちに「知っておいてほしい」「隠しておきたい」という線引きが難しいですよね。しかし事情を知らなければ、対処することもできないので、それぞれが働きやすいよう、悩みを一人で抱え込まないようなコミュニケーションを心がけています。
-------「Well-being CUSTOMER CENTER AWARD(ウェルビーイングカスタマーセンターアワード)」も4年連続で受賞されていますが、これまでのお話からすると、受賞を目指してがんばったというより、普段の取組が自然と4期連続の受賞に繋がっているという感じですね。
山口さん そうですね。意識して・・・というより、スタッフから上がってきた声に対して、次々応えてきた結果、4期連続受賞に至ったという感じです。
-------お話いただいたような仕組み作りをしようにも「難しい」と感じている企業もあると思います。何か秘訣はありますか?
山口さん まだ創立して間もない会社なので、秘訣というほどではないんですが、不自由さや働きづらさを感じると、辞めてしまうと思います。環境だけは・・・、だけっていうのもおかしいですけど、誰もが不自由を感じることのない時代に合った働き方、職場づくりをしたいと考えています。
-------ちなみに採用募集はされていますか?
山口さん 中途採用も積極的に行っています。育休後や病気療養後など「意欲はあるけれど、どのくらい働けるか不安」という人も気軽に相談いただければと思います。仕事に関しては研修やサポート体制も充実していますし、その人にあった合った働き方ができるので、スムーズに社会復帰できるのではないかと思います。
【株式会社AIサポート 徳島センター】
徳島市南昭和町1丁目15番地1 豊千ビル2F
TEL:088-676-3955